令和4年度 第22回 悩みながらの子育て

井窪 薫 先生(精神科医・4児の母)

令和4年度のリレーコラムは、今回で最終回となります。コラムがスタートしてからこれまでの2年の間に、我が家の子供達も成長し、『あれ?いつの間にこんな風に喋るようになったかな?』なんて驚く事の連続です。成長すればする程、私の知らない世界で学んでいたりして、こうやって少しずつ自立していくんだな、と思うと逞しくもあり、寂しくもあり、親の心も春の天気の様に気難しいものですね。

 

一生のうち、親子が一緒に過ごせる時間は、睡眠時間を抜いて計算すると、およそ9年間だそうです。思っている以上に短い事に驚きます。それと共に、日々悩んだりしながら子育てしている事が、とても意味がある様に思えます。

 

最初のコラムは、コロナ禍で緊急事態宣言の真っ最中でした。その時のコラムは、今出来ないことに目を向けるのではなく、出来る事を考えようという内容で、長女の自転車練習の事にも触れながら書かせて頂きました。

 

そんな事を思い出しながら、子育てって自転車に乗る練習に似ていると思いました。出来ない自分と、それを認めたくないプライドとの間で葛藤したり、アドバイスをすんなり受け取れなかったりと、なかなか複雑な思いで練習しています。
 でも、ふと手ごたえを感じる瞬間に自信がついたり、どの練習が良かったか分からないけど、すっと出来ていたり。逆にコツさえつかんでしまったら、後はすんなり出来ることも。「喉元過ぎると熱さを忘れる」ように、後から「なんで悩んでたのかな?」なんて思ったりもします。

 

日々の積み重ねである親子関係は、今後、子供が生きていくための土台となる部分です。大変な時は、自転車の練習みたいに色々な方法でやってみたり、誰かに相談したり頼ったりしながら、是非、最後には楽しんで過ごす事を目標にしてもらえたらいいな、と思います。

 

私も、日々子育てに悩みながら、私なんかがこのコラムを書いていていいのか?と悩んだ時期もあります。でも、結局、心のケアを専門にしている精神科医だって、子育てに悩んでいるという事がみんなの励みになればいいなと思い、執筆を続けて来ました。コラムを読んでいただいている皆さんに、そんな思いが届いていれば嬉しいです。

 

皆様と共にママフレコラムも成長させて頂きました。本当に嬉しく思います。今年度も1年間、お付き合い頂き有難うございました。

井窪 薫 先生(精神科医・4児の母)

精神保健指定医、産業医。4歳、2歳、1歳、0歳を子育て中。長女の子育て中に大学院に通い、医学博士、精神科専門医を習得。現在は兵庫県内で企業の産業医をしながら、精神科医の子育てアドバイスなどのセミナーも行っている。

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井窪 薫 先生(精神科医・4児の母)

精神保健指定医、産業医。4歳、2歳、1歳、0歳を子育て中。長女の子育て中に大学院に通い、医学博士、精神科専門医を習得。現在は兵庫県内で企業の産業医をしながら、精神科医の子育てアドバイスなどのセミナーも行っている。

北林 久仁子 先生(保育士・こども家庭局担当部長)

神戸市公立保育所保育士、主任、所長を経て、2022年度より、こども家庭局指導研修担当部長として、保育所・幼稚園・認定こども園などで乳幼児保育・教育に関わる職員の研修の企画運営等に携わる。これまでの保育現場での様々な出会いや今の仕事で気づいたことなどについて、コラムを執筆予定。

丸山 佳子 先生(保健師・こども家庭局家庭支援課担当課長)

2022年度より、神戸市こども家庭局母子保健担当課長として、妊婦健診・乳幼児健診をはじめとした、思春期、妊娠から出産、乳幼児の子育てなどに関する母子保健施策に携わる。妊娠期やお子さんの乳幼児期に利用できる行政サービスについて、コラムを執筆予定。

谷口 美佳 先生(心理士・こども家庭局こども家庭センター担当課長)

臨床心理士、公認心理師。神戸市では心理判定員を務める。2016年度より、こども家庭センター判定指導担当課長として、あらゆる子どもの相談に関して、心理的な視点から職員へのスーパーバイズ、児童心理司の統括、育成に携わる。心理的観点と現場経験から感じた子育てに関するコラムを執筆予定。

渡辺 雅子 先生(歯科医師・健康局保健所保健課 口腔保健支援センター長)

日本口腔衛生学会専門医、医学博士。2002年度より、神戸市保健所の行政歯科医師として、妊婦、乳幼児から高齢者まで全年代の歯科口腔保健を推進している。就学前のこどもでは、乳幼児健診や保育所(園)等でのフッ化物洗口などに携わる。こどもの歯と口の健康づくりについて、コラムを執筆予定。